定款の作り方
株式を譲るときの手続き 株主名簿の書き換えまで
事業の承継や、共同経営者が抜けるときなどに、株式を人に譲ることがあります。株式の譲渡は契約で効力が生じますが、譲渡制限がある会社では会社の承認が要り、譲ったあとは株主名簿の書き換えも必要です。株券を発行している会社かどうかでも手続きが変わります。譲渡の流れ、そろえる書類、気をつけることをまとめました。
この記事のポイント
- まず、定款で株券を発行する会社かどうかを確かめます。発行する会社は、株券を渡さないと譲渡の効力が生じません。
- 譲渡制限がある会社では、会社の承認を受けてから譲ります。
- 譲ったあとは、株主名簿を書き換えます。株主は登記されないため、登記は要りません。
- 譲る値段によっては、税金がかかることがあります。
株券を発行する会社か、しない会社か
今の会社法では、株式会社は原則として株券を発行しません。ただし、定款に「株券を発行する」と書いてある会社は、株券発行会社です。2006年より前に作られた会社には、定款に株券の発行の定めが残っていることがあるため、譲る前に定款と登記事項証明書を確かめます。
- 当事者の契約で譲渡の効力が生じる
- 株主名簿を書き換えて、会社に主張できる
- いまの会社の多くはこちら
- 株券を渡さないと効力が生じない
- 株券が実際に作られているか確かめる
- 株券をやめるなら定款を変えて登記
譲渡の流れ
- 1条件を決める誰に、何株を、いくらで、いつ譲るかを当事者で話し合う
- 2承認を求める譲る株主(または譲り受ける人)が、会社に譲渡の承認を求める
- 3会社が承認する定款で決めた機関で承認し、2週間以内に結果を知らせる
- 4契約と代金の支払い株式の譲渡契約を結び、代金を支払う。株券発行会社は株券も渡す
- 5株主名簿の書き換え譲った人と譲り受けた人が一緒に、会社に名義の書き換えを求める
承認のしくみは「株式の譲渡制限とは」で紹介しています。株主総会で承認する会社は「株主総会の開き方」も参考にしてください。
そろえるおもな書類
- 譲渡承認請求書:誰に何株を譲るかを書いて、会社に出す
- 承認の議事録と通知書:株主総会や取締役会の議事録と、承認したことを知らせる書面
- 株式譲渡契約書:株式の数・代金・支払日・引渡しの日などを書く
- 名義書換請求書:株主名簿の書き換えを、当事者が一緒に会社に求める書面
書き換えたあとの株主名簿は、会社で保管します。新しい株主は、株主名簿に書かれた内容の証明書を会社に求めることができます。
譲る前に気をつけること
- 値段の決め方:会社の財産や利益から見た株式の価値と、かけ離れていないか
- 税金:個人が利益を得て譲ると所得税などが、安すぎる値段だと贈与税などがかかることがある
- 持ち株の割合:譲ったあと、誰が議決権の過半数や3分の2以上を持つか
- 契約・許認可:大株主が変わると届出が要る許認可や、取引先との契約の定めがないか
税金の扱いは、譲る人と譲り受ける人、値段によって変わります。くわしくは税理士にご相談ください。
あわせて見直すこと
株主が変わっても登記は要りませんが、譲り受けた人が役員になるときは、役員の変更の登記をします(「取締役の追加と辞任」参照)。株式の過半数を持つ人が変わったときは、法務局に実質的支配者の情報を届け直しておくと、口座の手続きなどで役立ちます(「実質的支配者の申告」参照)。会社が自分の株式を買い取るときは、株主総会の決議や、買い取れる金額の上限などの決まりがあるため、専門家に相談して進めましょう。
株式の譲渡の段取りや、定款の見直しを相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。
株式の譲渡の手続きをご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「株式譲渡手続きキット」(外部サイト)もあります。
出典:会社法(第117条・第122条・第127条・第128条・第130条・第133条・第136条〜第139条・第145条・第156条・第214条・第461条)、会社法施行規則(第22条)、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(第76条)
よくある質問
株式を譲るのに、登記は要りますか?
要りません。株主は登記されないため、株主名簿を書き換えます。譲り受けた人が役員になるときは、役員の変更の登記をします。
株券を発行しているかどうかは、どこで分かりますか?
定款と登記事項証明書で確かめます。株券を発行する会社は、登記事項証明書に「株券を発行する旨」が載っています。
譲渡制限がある会社の株式は、どう譲りますか?
会社に譲渡の承認を求め、定款で決めた機関で承認を受けてから譲ります。会社は2週間以内に結果を知らせます。
株主名簿の書き換えは、どうしますか?
譲った人と譲り受けた人が一緒に、会社に名義の書き換えを求めます。書き換えると、会社に対して株主であることを主張できます。
株式を譲ると、税金はかかりますか?
個人が利益を得て譲ると所得税などが、安すぎる値段で譲ると贈与税などがかかることがあります。くわしくは税理士にご相談ください。
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