定款の作り方

有限会社から株式会社に変えるとき 手続き・費用・変えたあとに増える手間

監修:行政書士 渡邉 徳人

2006年より前に作られた有限会社は、今も「特例有限会社」として続いています。定款を変えて商号を株式会社にし、登記をすれば、株式会社に変えられます。手続きの流れと決め方、登録免許税、新しい定款で決めること、変えたあとに増える手間、許認可や取引先への届出までまとめました。

この記事のポイント

  • 有限会社は、定款を変えて商号を株式会社にすることで、株式会社に移れます。
  • 株主総会の決議は、株主の半数以上・議決権の4分の3以上の賛成が要ります。
  • 登録免許税は、株式会社の設立の分(資本金の1000分の1.5・最低3万円)と解散の分3万円で、最低6万円です。
  • 株式会社になると、役員の任期と決算公告の手間が増えます。

特例有限会社とは

2006年5月の会社法の施行で、新しく有限会社を作ることはできなくなりました。それより前に作られた有限会社は、法律の上では株式会社の一種(特例有限会社)として、「有限会社」の商号のまま続いています。そのままでも営業は続けられ、無理に株式会社に変える必要はありません。

有限会社のままと株式会社に移った場合
有限会社のまま
  • 役員の任期がない
  • 決算公告をしなくてよい
  • 取締役会や会計参与などは置けない
  • 「有限会社」の商号
株式会社に移る
  • 役員の任期ごとに登記が要る(最長10年)
  • 毎年、決算公告をする
  • 取締役会などを置ける
  • 「株式会社」の商号

会社そのものは同じまま続くため、会社の財産や契約、従業員との雇用は、そのまま引き継がれます。

株式会社に変える主な理由

移行を考えるきっかけ
  • 取引先や採用:「株式会社」の商号で、新しい取引や採用を進めたい
  • 事業の承継:代替わりにあわせて、会社のしくみを整えたい
  • 機関を整える:取締役会を置くなど、会社の体制を大きくしたい
  • 資金の調達:外部からの出資を受けやすい形にしたい

手続きの流れ

有限会社から株式会社への移行の流れ
  1. 1
    新しい定款の内容を決める商号・役員の任期・機関・公告の方法など、株式会社としての定め
  2. 2
    株主総会で決議する株主の半数以上で、議決権の4分の3以上の賛成
  3. 3
    役員を決める株式会社としての取締役・代表取締役など
  4. 4
    登記を申請する有限会社の解散と、株式会社の設立の登記を同時に申請する
  5. 5
    各所へ届け出る許認可の窓口・税務署・自治体・年金事務所・銀行・取引先

株式会社に移るのは、登記をした日です。公証役場の認証は要りません。登記の申請はご自身で行うか、司法書士に依頼します。行政書士は登記の申請の代理はできません。

費用の目安

移行の登録免許税
  • 株式会社の設立の登記:資本金の1000分の1.5(3万円に満たないときは3万円)
  • 有限会社の解散の登記:3万円

資本金が2,000万円以下なら、合計6万円です。会社の印鑑を作り直すときは、その費用もかかります。

新しい定款で決めること

移行のときは、商号を変えるだけでなく、株式会社として使う定款に整えます。有限会社の定款は旧有限会社法の時代のままのことも多いため、この機会に全体を見直します。

新しい定款で見直す主な点
  • 商号:「有限会社」を「株式会社」に変える。名前の部分も変えられる
  • 役員の任期:株式の譲渡制限があれば最長10年まで。短いと登記の手間が増える
  • 機関:取締役会や監査役を置くかを決める
  • 株式の譲渡制限:株式を譲るには会社の承認が要る、と定める
  • 公告の方法:官報か電子公告かを決める
  • 相続のとき:相続人に株式を売り渡すよう請求できる定めを入れるかを考える

変えたあとに増える手間

株式会社になると、役員の任期が来るたびに、同じ人が続けるときも役員の変更登記をします(登録免許税1万円、資本金1億円を超える会社は3万円)。任期を忘れて登記をしないと、過料を受けることがあります。また、毎年の決算公告も必要になります。官報に載せる費用がかかるため、電子公告などの方法も考えておきましょう。

許認可と取引先への届出

移行のあとに届け出る主な先
  • 許認可の窓口:建設業許可・産廃・古物商などは、商号の変更として届け出る
  • 税務署・自治体:異動届出書で、商号の変更を届け出る
  • 年金事務所など:社会保険・労働保険の名称の変更
  • 銀行・取引先:口座の名義、契約書・請求書の宛名、看板や名刺

許認可は、会社が同じまま続くため、多くは変更の届出で足ります。届出の期限は許認可ごとに違うため、移行の前に確かめておきましょう。

有限会社から株式会社への移行や、そのあとの許認可の届出に対応する専門家は、このサイトの地図から探せます。今の定款が見つからないときは「定款をなくしたとき」も参考にしてください。

出典:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(第2条・第3条・第14条・第18条・第24条・第45条・第46条)、会社法(第174条・第332条・第440条・第976条)、登録免許税法別表第一

よくある質問

有限会社は株式会社に変えないといけませんか?

変える必要はありません。特例有限会社として、有限会社の商号のまま営業を続けられます。

有限会社から株式会社に変える決議の要件は?

株主総会で、株主の半数以上が賛成し、その議決権が総株主の議決権の4分の3以上であることが必要です。

移行の費用はいくらかかりますか?

登録免許税は、株式会社の設立の分(資本金の1000分の1.5・最低3万円)と解散の分3万円で、最低6万円です。

株式会社に変えると何が増えますか?

役員の任期ごとの変更登記と、毎年の決算公告が必要になります。

建設業許可は取り直しになりますか?

会社が同じまま続くため、多くは商号の変更の届出で足ります。届出の期限は許認可ごとに確かめましょう。

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