定款の作り方

本店を移転するとき 定款の変更が要る場合と登記・届出の流れ

監修:行政書士 渡邉 徳人

会社の本店を移すときは、移転先によって、定款を変える必要があるかどうかや、登記の費用が変わります。定款に本店をどこまで書いておくかで、あとの手間も違ってきます。定款の書き方、移転の決め方、登記の流れと費用、移転のあとの届出までまとめました。

この記事のポイント

  • 定款には、本店の所在地を市区町村まで書けば足ります。番地まで書くと、近くへの移転でも定款を変えることになります。
  • 別の市区町村へ移るときは、株主総会の特別決議で定款を変えます。
  • 移転したら2週間以内に登記をします。法務局の管轄の外へ移るときは、登録免許税が6万円になります。
  • 税務署・年金事務所・取引先の銀行や、許認可の届出も忘れずに行います。

定款には本店をどこまで書くか

定款には、本店の所在地を書きます。書くのは「最小の行政区画」、つまり市区町村まで(東京23区は区まで)で足ります。たとえば「当会社は、本店を〇〇県〇〇市に置く。」と書き、番地などの具体的な場所は、設立のときに発起人が決めて登記します。

本店の書き方と移転のときの違い
市区町村まで書く
  • 「〇〇県〇〇市に置く」
  • 同じ市内の移転なら定款は変えない
  • 移転先は取締役が決める
番地まで書く
  • 「〇〇市〇〇町1番1号に置く」
  • 同じ市内でも定款を変える
  • そのたびに株主総会が要る

定款全体の作り方は「株式会社の定款の作り方」で紹介しています。

移転の決め方

移転先ごとに必要な決議
  • 同じ市区町村の中:定款は変えない。取締役(取締役会を置く会社は取締役会)が場所と日を決める
  • 別の市区町村へ:株主総会の特別決議で定款を変え、そのうえで取締役が場所と日を決める
  • 合同会社のとき:定款を変えるなら原則として社員全員の同意。場所と日は業務を行う社員の過半数で決める
  • 移転の日:実際に本店を移した日。登記はこの日から2週間以内に申請する

株主総会の手続きは「株主総会の開き方」、定款の変更は「定款の変更が必要になるとき」で紹介しています。

登記の流れと費用

登記の手続きは、移転先が今の本店を受け持つ法務局の管轄の中か外かで変わります。

本店移転の登記の違い
管轄の中で移る
  • 今の法務局に1件申請する
  • 登録免許税は3万円
  • 会社の印鑑はそのまま使える
管轄の外へ移る
  • 旧と新の2件を、今の法務局へ同時に出す
  • 登録免許税は3万円×2件で6万円
  • 新しい法務局に印鑑を届け直す

管轄の外へ移ると、会社の登記記録は新しい法務局に移り、登記事項証明書や印鑑証明書は新しい法務局の管轄のものになります(オンラインや全国の法務局の窓口でも取れます)。登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代わりに申請できません。

移転のあとの届出

本店を移したあとに出すおもな届出
  • 税務署:異動届出書を出す。消費税や源泉所得税の届出が必要なことも
  • 都道府県・市町村:法人住民税・事業税の異動の届出を出す
  • 年金事務所:社会保険の所在地の変更届を、5日以内に出す
  • 労働基準監督署・ハローワーク:従業員がいれば、労働保険・雇用保険の届出を10日以内に出す
  • 許認可の役所:営業所の変更の届出。都道府県をまたぐと許可を取り直すことも
  • 銀行・取引先など:口座の住所、請求書・名刺・ホームページの表示を直す

許認可が必要な事業では、本店が営業所を兼ねていることが多く、移転の前に要件を満たすかを確かめておくと安心です。たとえば建設業の知事許可で別の都道府県へ営業所を移すときは、移転先で許可を取り直します。くわしくは「許認可が必要な事業で会社を作るとき」で紹介しています。

移転の前に確かめておくこと

移転の前のチェック
  • 定款の書き方:本店を市区町村まで書いているか、番地まで書いているか
  • 法務局の管轄:移転先が同じ法務局の管轄かどうか
  • 許認可の要件:新しい事務所で、許可の要件を満たせるか
  • 建物の契約:事務所として使える契約か、登記してよい建物か

本店の移転にあわせた定款の見直しや、許認可の届出を相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。

本店移転の手続きをご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「本店移転手続きマニュアル」(外部サイト)もあります。

出典:会社法(第27条・第309条・第348条・第362条・第576条・第590条・第637条・第915条・第916条)、商業登記法(第51条〜第53条)、登録免許税法別表第一、厚生年金保険法施行規則、雇用保険法施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則、建設業法

よくある質問

同じ市内に本店を移すときも、定款を変えますか?

定款に本店を市区町村までしか書いていなければ、変えなくてかまいません。番地まで書いている場合は、定款の変更が必要です。

本店移転の登記はいつまでにしますか?

実際に移転した日から2週間以内に申請します。

本店移転の登記の費用はいくらですか?

法務局の管轄の中なら登録免許税は3万円、管轄の外へ移るなら旧と新の2件分で6万円です。

管轄の外へ移ると、会社の印鑑はどうなりますか?

新しい法務局に印鑑を届け直します。登記の申請とあわせて、今の法務局を経由して届け出ます。

本店を移したあとは、どこに届け出ますか?

税務署・都道府県・市町村の税の届出、年金事務所、従業員がいれば労働保険・雇用保険の届出、許認可がある事業なら許可を出した役所への届出などです。

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