定款の作り方

定款の変更が必要になるとき 手続き・登記の期限・登録免許税と届出

監修:行政書士 渡邉 徳人

会社の名前や事業目的、本店の場所を変えるときは、定款を変更し、多くの場合は登記も変更します。変更の決め方、公証役場の認証が要るかどうか、登記の期限と登録免許税、定款を変えなくてよい場合、許認可や税務署への届出までまとめました。

この記事のポイント

  • 定款の変更は、株式会社は株主総会の特別決議、合同会社は原則として社員全員の同意で決めます。
  • 設立のあとの定款の変更に、公証役場の認証は要りません。印紙も要りません。
  • 登記されている事項が変わったら、2週間以内に変更登記をします。商号や目的の変更の登録免許税は3万円です。
  • 許認可を持っている会社は、許認可の窓口への変更の届出も忘れずに行います。

定款の変更が必要になる主な場面

定款の変更と変更登記が必要になる主な場面
  • 商号を変える:会社の名前を変える。登録免許税3万円
  • 事業目的を変える:新しい事業を足す・やめた事業を外す。登録免許税3万円
  • 本店を移す:定款に書いた市区町村の外へ移す。登録免許税は同じ法務局の管轄なら3万円、管轄の外なら6万円
  • 公告の方法を変える:官報から電子公告にするなど。登録免許税3万円
  • 機関を変える:取締役会や監査役を置く・やめる。登録免許税3万円など
  • 株式のしくみを変える:発行可能株式総数や譲渡制限の定めを変える。登録免許税3万円

登録免許税は、資本金1億円以下の会社の目安です。商号・目的・公告の方法など、同じ区分の変更をまとめて申請すると、3万円を1回納めれば済みます。

定款だけを変えればよい場面

定款に書いてあっても、登記されていない事項は、定款を変えるだけで登記は要りません。代表的なものは次のとおりです。

定款の変更だけで済む主な事項
  • 事業年度:決算の月を変える。税務署・都道府県・市区町村への届出は必要
  • 役員の任期:任期を延ばす・縮める。今の役員の任期にも影響するので注意
  • 役員の数:取締役の人数の上限などを変える
  • 株主総会の招集:開く時期や招集の方法を変える

定款を変えなくてよい場面

登記は変わっても、定款は変えなくてよい場合もあります。

定款はそのままで、登記だけ変える例
役員の交代
  • 定款に役員の名前を書いていなければ、定款は変えない
  • 役員の変更登記は必要(登録免許税1万円)
同じ市区町村内の本店移転
  • 定款に市区町村までしか書いていなければ、定款は変えない
  • 本店移転の登記は必要(登録免許税3万円)

設立のときの定款に、最初の役員の名前や本店の番地まで書いている場合でも、変えるのは登記事項です。定款の附則の役員の名前は、書き直さなくてもかまいません。

定款を変える手続き

定款の変更から届出までの流れ
  1. 1
    変える内容を決める新しい商号・目的など。許認可があれば窓口が求める書き方も確かめる
  2. 2
    総会などで決める株式会社は株主総会の特別決議(議決権の過半数が出席し、その3分の2以上の賛成)、合同会社は社員全員の同意
  3. 3
    議事録・同意書を作る変更登記の申請に添付する
  4. 4
    2週間以内に変更登記本店の所在地の法務局へ。登録免許税を納める
  5. 5
    各所へ届け出る許認可の窓口・税務署・都道府県・市区町村・年金事務所・取引先・銀行

変更登記の申請は、ご自身で行うか、司法書士に依頼します。行政書士は登記の申請の代理はできません。

設立のあとの定款の変更には、公証役場の認証は要りません。株主総会の議事録などで変更を決めれば、その時点で定款は変わります。変更後の内容を反映した定款(現行定款)を作り直して、会社で保存しておくと、銀行や許認可の手続きで提出を求められたときにすぐに出せます。収入印紙が要るのは設立のときの紙の定款だけで、変更のときは要りません。

変更の種類ごとの注意点

商号を変えるとき

同じ住所に、同じ商号の会社がすでにあると登記できません。会社の印鑑は、商号が変わっても届け出た印鑑をそのまま使えますが、印影に商号が入っている場合は作り直して届け出ることが多いです。看板・名刺・ホームページ・請求書の書式・銀行口座の名義も、あわせて変える準備をしておきましょう。

本店を移すとき

別の法務局の管轄へ移すときは、旧本店の法務局と新本店の法務局の両方に申請します(申請は旧本店の法務局にまとめて出します)。登録免許税は、それぞれ3万円の合計6万円です。会社の印鑑も、新しい本店の法務局に届け出し直します。許認可の中には、営業所の場所の変更が新しい許可の申請になるものもあるため、移転の前に確かめましょう。

事業目的を足すとき

許認可を取る予定で目的を足すときは、窓口が求める言葉を入れます。書き方を誤ると、もう一度変更登記をすることになり、登録免許税がまた3万円かかります。書き方の例は「事業目的の書き方」で紹介しています。

登記の期限を過ぎると

登記されている事項が変わったときは、変わった日から2週間以内に、本店の所在地で変更登記をしなければなりません。期限を過ぎても登記はできますが、会社の代表者が100万円以下の過料を受けることがあります。役員の任期が満了したのに、同じ人が続けるからと登記を忘れているケースも多いため、任期の管理にも気をつけましょう。

許認可と届出への影響

変更のあとに届出が必要になる主な先
  • 許認可の窓口:建設業・宅建業・古物商・運送業などは、商号・所在地・役員などの変更を届け出る。期限は許認可ごとに違う
  • 税務署:異動届出書。事業年度・商号・本店などが変わったとき
  • 都道府県・市区町村:法人の異動の届出
  • 年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク:商号や所在地が変わったとき

許認可によっては、事業目的を変えるときに、変更の前に窓口へ相談が要るものや、届出の期限が短いものがあります。許認可を持っている会社は、定款を変える前に、許認可にくわしい専門家に確かめておくと安心です。

定款の変更や、そのあとの許認可の届出に対応する専門家は、このサイトの地図から探せます。

出典:会社法(第30条・第309条・第466条・第637条・第915条・第976条)、印紙税法別表第一、登録免許税法別表第一、法務省「商業・法人登記の申請書様式」、国税庁「異動届出書」

よくある質問

定款を変更するとき、公証役場の認証は必要ですか?

必要ありません。公証役場の認証が要るのは、株式会社を設立するときの最初の定款だけです。

定款の変更はどうやって決めますか?

株式会社は株主総会の特別決議(議決権の過半数が出席し、その3分の2以上の賛成)、合同会社は原則として社員全員の同意で決めます。

商号や事業目的を変えるといくらかかりますか?

変更登記の登録免許税が3万円です(資本金1億円以下の会社)。商号と目的を一緒に変えるなど、同じ区分の変更をまとめて申請すれば3万円で済みます。

変更登記はいつまでにすればよいですか?

変わった日から2週間以内です。過ぎると、代表者が100万円以下の過料を受けることがあります。

事業年度を変えるときに登記は必要ですか?

事業年度は登記されていないため、定款を変えるだけで登記は要りません。税務署などへの異動の届出は必要です。

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