定款の作り方

資本金を増やすとき 増資の手続き・費用と許認可・税金への影響

監修:行政書士 渡邉 徳人

許認可の要件を満たすため、取引先からの信用のため、事業の資金を入れるためなどで、設立のあとに資本金を増やす(増資する)ことがあります。株式会社では、新しく株式を発行して出資を受ける方法が基本です。増資の方法、手続きの流れ、登記の費用、増やす前に確かめること、許認可と税金への影響をまとめました。

この記事のポイント

  • 株式会社の増資は、新しく株式を発行し、払い込まれたお金を資本金にするのが基本です。
  • 譲渡制限がある会社では、株主総会の特別決議で、発行する株式の数や払い込む金額を決めます。
  • 払込みのあと2週間以内に登記します。登録免許税は増えた資本金の0.7%(最低3万円)です。
  • 資本金の額によって、税金や許認可の要件が変わることがあります。

増資の2つの方法

株式会社が資本金を増やすときは、新しく株式を発行して、出資を受けるのが基本です(募集株式の発行)。誰に株式を割り当てるかで、次の2つに分かれます。

株主割当と第三者割当
株主割当
  • 今の株主に、持ち株の数に応じて割り当てる
  • 株主どうしの持ち株の割合が変わりにくい
  • 定款で定めれば、取締役が決められる
第三者割当
  • 決まった人(社長・新しい出資者など)に割り当てる
  • 持ち株の割合が変わる
  • 株主総会の特別決議で決める

中小企業では、社長が会社にお金を出して株式を引き受ける第三者割当がよく使われます。社長が会社に貸しているお金を株式に替える方法(債務の株式化)もありますが、手続きが変わるため専門家に相談しましょう。

増資の手続きの流れ

第三者割当で増資するときの流れ
  1. 1
    募集事項を決める株主総会の特別決議で、株式の数・1株の払込金額・払込みの期日などを決める
  2. 2
    引受けの契約引き受ける人と、株式の総数を引き受ける契約を結ぶ(申込みと割当てを省ける)
  3. 3
    払込み期日までに、会社の口座に出資のお金を払い込む
  4. 4
    資本金の額を決める払い込まれた額の2分の1以上を資本金にし、残りは資本準備金にできる
  5. 5
    変更の登記払込みの期日から2週間以内に申請する

株主総会の手続きは「株主総会の開き方」で紹介しています。登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代わりに申請できません。

増資の費用

増資の登記の登録免許税は、増えた資本金の額の1,000分の7です。計算した額が3万円に満たないときは3万円になります。たとえば資本金を300万円増やすと、0.7%は2万1千円なので3万円、500万円増やすと3万5千円です。払い込まれたお金を全部資本金にせず、半分を資本準備金にすると、登録免許税を抑えられることがあります。

増やす前に確かめること

増資の前のチェック
  • 発行できる株式の数:定款の「発行可能株式総数」の範囲に収まるか。足りなければ定款を変える
  • 1株の払込金額:会社の今の価値に比べて、低すぎたり高すぎたりしないか
  • 持ち株の割合:増資のあと、社長が議決権の過半数や3分の2以上を持てるか
  • 資本金にする額:全部を資本金にするか、一部を資本準備金にするか

1株の払込金額が会社の価値より低いと、株式を引き受けた人や、ほかの株主に税金がかかることがあります。株式の譲渡制限は「株式の譲渡制限とは」で紹介しています。

資本金を増やすと変わること

資本金の額で変わるおもなこと
  • 1,000万円を超えると:法人住民税の均等割が上がる
  • 1億円を超えると:中小企業向けの税の特例が使えなくなるものがある
  • 許認可の要件:建設業許可の財産の要件など、資本金や純資産で見る要件を満たしやすくなる
  • 許認可の届出:資本金が変わったら、許可を出した役所に変更の届出が要ることがある

税金への影響は、会社ごとに違います。くわしくは税理士にご相談ください。設立のときの資本金の考え方は「資本金の決め方」、許認可との関係は「許認可が必要な事業で会社を作るとき」で紹介しています。

合同会社の増資

合同会社は、出資の価額が定款に書かれているため、今の社員が出資を増やすときや、新しい社員が加わるときは、原則として社員全員の同意で定款を変えます。払込みのあと、資本金の額の変更を登記します。登録免許税の計算は株式会社と同じです。

増資の段取りや、許認可の要件とあわせた資本金の考え方を相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。

増資の手続きをご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「株式会社増資手続きマニュアル」(外部サイト)もあります。

出典:会社法(第37条・第113条・第199条〜第209条・第309条・第445条・第576条・第604条・第637条・第911条・第915条)、登録免許税法別表第一、地方税法(第52条・第312条)

よくある質問

増資の登記の費用はいくらですか?

登録免許税は、増えた資本金の額の0.7%です。計算した額が3万円に満たないときは3万円になります。

増資の登記はいつまでにしますか?

払込みの期日(期間を決めたときは、その期間の末日)から2週間以内に申請します。

払い込んだお金は、全部資本金にしなければなりませんか?

払い込まれた額の2分の1以上を資本金にすればよく、残りは資本準備金にできます。

資本金を増やすと、税金は変わりますか?

資本金等の額が1,000万円を超えると法人住民税の均等割が上がり、1億円を超えると中小企業向けの税の特例が使えなくなるものがあります。くわしくは税理士にご相談ください。

社長が会社に貸しているお金で増資できますか?

貸付金を株式に替える方法(債務の株式化)があります。手続きや税金の扱いが変わるため、専門家に相談して進めましょう。

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