定款の作り方
事業目的の書き方 基本の形・許認可ごとの書き方の例・注意点
事業目的は、会社が何をするかを定款に書き、登記もされる項目です。株式会社でも合同会社でも必ず書きます。許認可が必要な事業は、窓口が求める言葉が目的に入っていないと、設立のあとで定款と登記を直すことになりかねません。基本の書き方、許認可ごとの書き方の例、書けない事業、決めるまでの手順をまとめました。
この記事のポイント
- 事業目的は、適法であること・営利であること・内容が分かることが必要です。
- 許認可が必要な事業は、窓口が求める言葉を目的に入れます。手引きで確かめてから定款を作りましょう。
- 他の資格者だけができる業務(税務申告の代理など)は、会社の目的にできません。
- あとから目的を変えると、定款の変更と登録免許税3万円の変更登記が必要です。
事業目的に必要な3つのこと
- 適法であること:法律に反する事業や、公の秩序に反する事業は書けない
- 営利であること:会社は利益を出すための団体。寄付だけを目的にすることはできない
- 内容が分かること:誰が読んでも、どんな事業か分かる言葉で書く
2006年の会社法の施行のあとは、目的がどこまで具体的かは登記で審査されなくなりました。ただし、許認可の窓口や金融機関は目的の書き方を見るため、分かりやすく書くことが大切です。
基本の書き方
定款では、「当会社は、次の事業を営むことを目的とする。」と書いたあとに、事業を番号つきで並べます。最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と入れて、並べた事業に関わる仕事も含めるのが一般的です。
- 1内装仕上工事業いちばん主な事業を先頭に書く
- 2建築工事業許可を取る予定の業種も、近いうちなら入れておく
- 3住宅設備機器の販売工事に関わる物の販売など、関連する事業
- 4前各号に附帯関連する一切の事業最後に入れる決まり文句
言葉は、ふだん使われている言い方で書きます。アルファベットの語は、「IT」のように広く通じる語にとどめ、迷ったら法務局に確かめましょう。合同会社の定款でも、書き方は同じです。
許認可が必要な事業の書き方の例
許認可を取るときは、窓口が会社の登記事項証明書で事業目的を確かめます。窓口が求める言葉が目的に入っていないと、申請の前に定款と登記の変更を求められることがあります。代表的な書き方の例は次のとおりです。
- 建設業:「土木工事業」「とび・土工工事業」など、許可を取る業種が分かる書き方
- 宅地建物取引業:「宅地建物取引業」、または「不動産の売買、賃貸、仲介」
- 古物商:「古物営業法に基づく古物商」
- 労働者派遣事業:「労働者派遣事業」
- 有料職業紹介事業:「有料職業紹介事業」
- 一般貨物自動車運送事業:「一般貨物自動車運送事業」
- 産業廃棄物収集運搬業:「産業廃棄物収集運搬業」
- 酒類の販売:「酒類の販売」(通信販売なら「酒類の通信販売」も)
- 旅行業:「旅行業法に基づく旅行業」
- 介護・障害福祉:「介護保険法に基づく居宅サービス事業」など、サービスの種類が分かる書き方
書き方は、窓口や都道府県によって違うことがあります。建設業は「建設業」とまとめた書き方でよいとする窓口もありますが、取りたい業種の名前を書いておくと確実です。介護・障害福祉は、サービスの種類ごとに細かく決まっていることが多いため、指定を受ける自治体の手引きで確かめましょう。
許認可の要らない事業の書き方の例
許認可の要らない事業は、決まった言い方はありません。事業の中身が伝わる、ふだんの言葉で書きます。
- ネット販売:「インターネットを利用した各種商品の企画、製造及び販売」
- ウェブ制作:「ホームページの企画、制作、運営及び管理」
- コンサルティング:「経営に関するコンサルティング業務」など、分野が分かる書き方
- 自社の不動産:「不動産の保有、賃貸及び管理」
- 飲食店:「飲食店の経営」
- 教室・講座:「各種セミナー及び教室の企画、開催及び運営」
自社の物件を貸すだけなら、宅地建物取引業の免許は要りません。他人の物件の売買や仲介をするときは免許が必要になるため、宅地建物取引業の書き方も入れておきます。飲食店は保健所の営業許可が必要ですが、目的の書き方まで問われないことが多い事業です。
目的にできない事業
弁護士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士など、法律で資格者だけができる業務は、一般の会社の目的にできません。たとえば「税務申告の代理」「登記の申請の代理」「官公署に出す書類の作成」などです。書いても登記で受け付けられないか、のちに問題になることがあります。
「〇〇の手続きの代行」のように書くと、資格者の業務に当たるおそれがあるものもあります。事業の中身に合った、誤解のない言葉を選びましょう。
目的をいくつ書くか
- いま始める事業
- 数年以内に始める予定の事業
- 許認可を取る予定の事業
- 始める予定のない事業
- 本業とつながりの見えない事業
- 似た内容のくり返し
目的の数に決まりはありません。ただ、つながりの見えない事業がたくさん並んでいると、銀行口座の開設などで「何をする会社か」を説明しにくくなります。
あとから目的を足すときは、株式会社なら株主総会の特別決議、合同会社なら原則として社員全員の同意で定款を変え、2週間以内に目的の変更登記をします。登録免許税は3万円です。予定している事業は、設立のときにまとめて入れておくと手間と費用を抑えられます。
決めるまでの手順
- 1事業を書き出すいま始める事業と、数年以内に始める事業
- 2許認可が要るか調べる要るものは、窓口の手引きで目的の書き方を確かめる
- 3同業の会社の例を見る同業の会社の登記事項証明書は、誰でも取って目的を見られる
- 4言葉を整えて並べる主な事業を先頭に。最後に附帯関連する事業
- 5定款に書いて設立する株式会社は公証役場の認証、合同会社はそのまま登記へ
許認可が関わる事業は、定款を作る前に、許認可にくわしい専門家に目的の書き方を確かめてもらうと安心です。定款づくりと許認可の両方に対応する専門家は、このサイトの地図から探せます。
出典:会社法(第27条・第466条・第309条・第576条・第637条・第915条)、平成18年3月31日法務省民商第782号通知、登録免許税法別表第一、労働者派遣法、職業安定法、宅地建物取引業法、古物営業法、貨物自動車運送事業法、廃棄物処理法、酒税法、旅行業法、介護保険法、税理士法・司法書士法・行政書士法ほか各士業法
よくある質問
事業目的はいくつまで書けますか?
数に決まりはありません。いま始める事業と数年以内に始める予定の事業にしぼると、何をする会社かが伝わりやすくなります。
許認可を取る予定の事業は、目的にどう書けばよいですか?
窓口が求める言葉を入れます。たとえば労働者派遣は「労働者派遣事業」、古物商は「古物営業法に基づく古物商」です。手引きで確かめてから定款を作りましょう。
あとから事業目的を変えることはできますか?
できます。定款を変更し、2週間以内に目的の変更登記をします。登録免許税は3万円です。
「前各号に附帯関連する一切の事業」は入れたほうがよいですか?
入れるのが一般的です。並べた事業に関わる仕事も、会社の目的の範囲に含めることができます。
税理士や行政書士の業務を会社の目的にできますか?
できません。資格者だけができる業務は、一般の会社の目的にすることはできません。
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