定款の作り方

会社の目的を追加・変更するとき 許認可の前に確かめることと手続き

監修:行政書士 渡邉 徳人

新しい事業を始めるときは、その事業が定款と登記の「目的」に入っているかを確かめます。許認可が必要な事業では、目的に入っていないと申請できないことが多く、目的の変更の登記が終わるまで申請を待つことになります。追加・変更の手続き、費用、許認可とあわせた段取り、変えるときのコツをまとめました。

この記事のポイント

  • 会社は、定款の目的の範囲で事業を行います。新しい事業を始めるときは、目的に入っているかを確かめます。
  • 目的を変えるには、株主総会の特別決議で定款を変え、2週間以内に登記します。登録免許税は3万円です。
  • 許認可が必要な事業は、目的の登記が終わってから申請することが多いため、早めに段取りします。
  • 変えるときは、これから始めそうな事業もまとめて入れると、費用と手間を抑えられます。

目的を追加・変更する場面

会社の目的は、定款に書き、登記される事項です。始めたい事業が今の目的に入っていないとき、事業の内容に合わせて書き方を直したいとき、やめた事業を外したいときに、目的を変更します。取引先や金融機関は、登記事項証明書で会社の目的を見ることがあるため、実際の事業と合っていることが大切です。

目的の基本の書き方は「事業目的の書き方」で紹介しています。

許認可と目的

許認可が必要な事業の多くは、申請のときに登記事項証明書を出し、その事業が会社の目的に入っているかを確かめられます。目的に入っていないと、申請を受け付けてもらえないことがあります。

目的に入っているかを確かめられるおもな許認可
  • 建設業許可:取る業種の工事が目的に入っているか
  • 産業廃棄物収集運搬業:産業廃棄物の収集運搬が目的に入っているか
  • 古物商許可:古物の売買などが目的に入っているか
  • 宅地建物取引業:不動産の売買・仲介などが目的に入っているか
  • 労働者派遣事業:労働者派遣事業が目的に入っているか
  • 酒類の販売:酒類の販売が目的に入っているか

どこまで具体的に書けばよいかは、許認可や窓口によって違います。目的を変える前に、許認可の窓口や専門家に書き方を確かめておくと、やり直しを防げます。

目的を変える手続き

目的の変更から許認可の申請までの流れ
  1. 1
    書き方を決める許認可の窓口などで、必要な書き方を確かめて文案を作る
  2. 2
    定款を変える株主総会の特別決議で決め、議事録を作る
  3. 3
    変更の登記決議の日から2週間以内に申請する。登録免許税は3万円
  4. 4
    証明書を取る登記が終わったら、新しい目的が載った登記事項証明書を取る
  5. 5
    許認可・届出許認可を申請し、税務署などにも異動の届出を出す

合同会社は、定款に別の定めがなければ社員全員の同意で目的を変えます。定款の変更は公証人の認証が要らず、印紙も要りません。登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代わりに申請できません。

登記の申請から完了までは、法務局の混み具合により1〜2週間ほどかかることがあります。許認可の申請や、取引の開始の日が決まっているときは、そこから逆算して早めに株主総会を開きます。株主総会の手続きは「株主総会の開き方」で紹介しています。

目的を変えるときのコツ

目的を変えるときに考えておくこと
  • まとめて変える:目的と商号を同時に変えても、登録免許税は3万円のまま
  • 先の事業も入れる:数年のうちに始めそうな事業も、あわせて入れておく
  • 最後の号を残す:「前各号に附帯関連する一切の事業」を最後に置く
  • 使わない目的を整理:事業と関係のない目的が多すぎると、取引先や金融機関に分かりにくい

他の資格者だけができる業務(税務申告の代理など)は、目的に入れても会社では行えません。

許認可を持っている会社が目的を変えるとき

すでに許認可を持っている会社が目的を変えるときは、許可を出した役所に変更の届出が要ることがあります。許可を受けた事業を目的から外すと、許可の前提がなくなるおそれもあるため、外す前に窓口に確かめます。定款の変更とあわせて必要になる届出は「定款の変更が必要になるとき」、会社を作る段階からの準備は「許認可が必要な事業で会社を作るとき」で紹介しています。

目的の書き方や、許認可とあわせた段取りを相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。

目的の変更の手続きをご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「株式会社目的変更キット」(外部サイト)もあります。

出典:会社法(第27条・第309条・第466条・第576条・第637条・第911条・第915条)、民法(第34条)、登録免許税法別表第一

よくある質問

今の目的に入っていない事業は、始められませんか?

会社は定款の目的の範囲で事業を行います。新しい事業を始めるときは、目的を追加しておきます。許認可が必要な事業では、目的に入っていないと申請できないことが多くあります。

目的を変える費用はいくらですか?

変更の登記の登録免許税が3万円です。商号など同じ区分の変更を同時に行っても3万円のままです。専門家に頼む場合は、別に報酬がかかります。

目的の変更に、公証人の認証は要りますか?

要りません。設立のあとの定款の変更は、株主総会の決議などで効力が生じます。

許認可の申請は、目的を変える決議のあとすぐにできますか?

多くの許認可では、新しい目的が載った登記事項証明書を出します。登記が終わってから申請することになるため、日程に余裕をもって進めます。

使っていない目的は消したほうがよいですか?

必ず消す必要はありませんが、事業と関係のない目的が多すぎると分かりにくくなります。ほかの変更とあわせて整理すると、費用を抑えられます。

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