定款の作り方
合同会社の定款の作り方 必ず書くこと・決めておきたいこと・株式会社との違い
合同会社の定款は、公証役場での認証が要らず、社員(出資者)が自分たちで作って署名すれば完成します。そのぶん、経営のしかたや利益の分け方、社員が亡くなったときの扱いまで、定款で自由に決められるのが特徴です。必ず書くことと、決めておきたいこと、1人で作るときの注意、作ったあとの手続きまでまとめました。
この記事のポイント
- 合同会社の定款は公証役場の認証が不要です。社員全員が署名すれば完成し、電子定款なら印紙4万円も不要です。
- 必ず書くことは6つ。株式会社と違い、社員の氏名・住所と出資の額も定款に書きます。
- 経営する人・代表・利益の分け方・出資の譲り方は、定款で自由に決められます。
- 社員が1人の会社は、社員が亡くなったときの定めがないと会社が解散になるため、定款に書いておくと安心です。
株式会社の定款との違い
- 公証役場で認証を受ける(1.5〜5万円)
- 株主の名前は定款に書かなくてよい
- 発行可能株式総数を書く
- 取締役の任期を定める
- 認証は不要。社員全員の署名で完成
- 社員の氏名・住所と出資の額を書く
- 株式はないので、株式の定めはない
- 役員の任期はない
合同会社の「社員」は出資した人のことで、従業員のことではありません。合同会社は、社員が原則として自分で経営もする会社です。
認証がないぶん、定款の中身を公証人に確かめてもらう機会もありません。法務局に登記を申請するときに定款を添付するため、書き方に不備があると登記で直しを求められます。作ったら、法律で決まった事項が抜けていないかを必ず見直しましょう。
必ず書くこと(絶対的記載事項)
- 目的:会社が行う事業。許認可を取る事業は、手引きに合う書き方にする
- 商号:「合同会社」の文字を、前か後ろに入れる
- 本店の所在地:市区町村までの書き方でよい
- 社員の氏名または名称と住所:住民票や登記のとおりに書く
- 社員の全員が有限責任社員であること:合同会社であることを示す
- 社員の出資の目的と価額:お金なら「金100万円」のように。物で出すなら物の内容と評価額
1つでも欠けると定款として無効になります。合同会社の社員の出資は、お金か、その他の財産(物など)に限られ、労務や信用で出資することはできません。
資本金の額は、定款に書かなくてもかまいません。資本金は、出資された額の範囲で決め、登記の申請のときに示します。出資の全額を資本金にするのが一般的です。
決めておきたいこと
合同会社は、法律の決まり(原則)を、定款で変えられる部分が多い会社です。何も書かなければ原則どおりになるため、原則でよいか、変えたいかを社員どうしで話し合って決めます。
- 経営する人:書かなければ社員全員。業務執行社員をしぼれる
- 代表:書かなければ経営する社員それぞれ。代表社員を1人に決められる
- 決め方:書かなければ経営する社員の過半数。別の決め方にできる
- 利益の分配:書かなければ出資の額に応じる。違う割合にできる
- 出資の譲渡:書かなければ他の社員全員の承諾。要件を変えられる
- 定款の変更:書かなければ社員全員の同意。別の決め方にできる
出資の譲渡は、経営をしない社員が譲るときは、経営する社員全員の承諾で足ります。
業務執行社員と代表社員
社員が複数いて、経営は一部の人に任せたいときは、定款で業務執行社員を決めます。会社を代表する代表社員は、業務執行社員の中から、定款で直接決めるか、定款の定めにもとづいて業務執行社員の互選で決めます。代表社員の氏名と住所は登記され、登記事項証明書にも載ります。
利益の分け方
定款で決めなければ、利益と損失は出資の額に応じて分けます。お金を多く出す人と、技術や営業で貢献する人が組む場合などは、出資の額と違う割合を定款で決めることができます。分け方は税金にも関わるため、決める前に税理士に相談しておくと安心です。
社員の加入・退社と、社員が亡くなったとき
合同会社では、社員が亡くなると、その社員は退社したことになり、原則として相続人は社員の立場を引き継ぎません。相続人には持分の払戻し(お金で精算)が行われます。相続人に社員の立場を引き継がせたいときは、定款に「社員が死亡した場合には、その相続人が持分を承継する」旨を書いておきます。
1人で作るときの注意
- 相続の定め:社員が1人もいなくなると会社は解散するため、相続人が持分を引き継ぐ定めを入れておく
- 代表社員:1人なら、その人が代表社員。定款に「代表社員は〇〇とする」と書いておくと、登記の書類が分かりやすい
- 出資と資本金:1人で出資の全額を払い込む。資本金は、許認可の財産の要件や取引先からの見え方も考えて決める
- あとから仲間が加わる:新しい社員の加入は定款の変更になるため、そのときの決め方も考えておく
会社などの法人が社員になるとき
合同会社は、会社などの法人も社員になれます。法人が業務執行社員になる場合は、実際に職務を行う人(職務執行者)を選び、他の社員に知らせます。法人が代表社員になると、その法人の名称と、職務執行者の氏名・住所が登記されます。登記の申請には、法人の登記事項証明書や、職務執行者を選んだことを示す書面が必要です。
定款の組み立ての例
- 1総則商号・目的・本店の所在地・公告の方法
- 2社員と出資社員の氏名・住所・出資の価額、有限責任社員であること、持分の譲渡
- 3業務の執行と代表業務執行社員・代表社員・業務の決め方
- 4社員の加入・退社加入・退社の手続き、相続人による承継
- 5計算事業年度・利益の分け方
- 6附則最初の事業年度、定款を作った日と社員の署名
公告の方法を書かないときは、官報になります。事業年度は、1年を超えない範囲で自由に決められます。
作ったあとの手続き
- 1社員全員が署名する紙なら署名か記名押印、電子定款なら電子署名。紙は印紙4万円が要る
- 2出資を払い込む社員が出資の全額を払い込む。通帳の写しで払込みを証明する
- 3本店の番地などを決める定款に書いていないことは、業務執行社員の過半数で決める
- 4設立登記を申請する登録免許税は資本金の1000分の7(最低6万円)。申請した日が設立日
電子定款は、オンラインで登記を申請するときに添付するか、CD-Rなどに保存して提出します。設立登記の申請はご自身で行うか、司法書士に依頼します。行政書士は定款づくりを担当し、登記の申請の代理はできません。
登記が終わったあとも、定款は会社の大切な書類として保管しておきます。銀行口座を開くときや許認可の申請で、写しを求められることがよくあります。内容を変えるときは、社員全員の同意(定款で別の定めがあればそれに従う)で変更し、登記事項が変わる場合は変更の登記もします。
合同会社の定款づくりや電子定款にくわしい専門家は、このサイトの地図から探せます。
出典:会社法(第575条・第576条・第578条・第585条・第590条・第591条・第598条・第599条・第604条・第607条・第608条・第611条・第622条・第637条・第641条・第914条・第939条)、会社計算規則第71条、印紙税法別表第一、登録免許税法別表第一、法務省「合同会社設立登記申請書」記載例
よくある質問
合同会社の定款は公証役場の認証が必要ですか?
必要ありません。社員全員が署名(電子定款なら電子署名)すれば完成し、そのまま設立登記の申請に使えます。
合同会社の定款に必ず書くことは何ですか?
目的・商号・本店の所在地・社員の氏名または名称と住所・社員全員が有限責任社員であること・社員の出資の目的と価額の6つです。
資本金の額は定款に書く必要がありますか?
書かなくてもかまいません。資本金は出資された額の範囲で決め、設立登記の申請で示します。
社員が1人の合同会社で、社員が亡くなったらどうなりますか?
社員がいなくなると会社は解散します。相続人に社員の立場を引き継がせたい場合は、定款にその旨を定めておきます。
合同会社の電子定款に印紙は要りますか?
要りません。紙の定款には4万円の収入印紙が要りますが、電子定款は印紙税がかかりません。
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