会社設立
発起人が複数いるときの決め方 出資の割合・役員・あとでもめないための準備
仲間や家族と一緒に株式会社を作るときは、発起人が複数になります。誰がいくら出資するかで、設立のあとの株主総会での力の差が決まります。出資の割合の目安、役員の決め方、定款と手続きで気をつけること、仲間が抜けたときに備える約束までまとめました。
この記事のポイント
- 発起人は、設立のときに1株以上を引き受けて出資する人で、設立のあとは株主になります。
- 出資の割合で、株主総会での力が決まります。過半数・3分の2・3分の1が大きな区切りです。
- 定款には発起人全員の署名(電子定款なら電子署名)が要り、全員の印鑑証明書を用意します。
- 仲間が抜けたときの株式の扱いなどは、設立の前に書面で約束しておくと安心です。
発起人とは
発起人は、株式会社を作る人です。定款を作り、設立のときに発行する株式を1株以上引き受けて出資し、設立のあとは株主になります。個人だけでなく、会社などの法人も発起人になれます。発起人と取締役は別の立場で、発起人だけで取締役にならない人もいれば、出資をせずに取締役になる人もいます。
出資の割合で決まること
株主総会では、原則として1株に1票の議決権があります。誰がどれだけの株式を持つかで、会社の大事なことを誰が決められるかが変わります。
- 過半数:取締役を選ぶ・解任する、役員報酬の総額を決めるなど(普通決議)を単独で決められる
- 3分の2以上:定款の変更・合併・解散など(特別決議)も単独で決められる
- 3分の1を超える:ほかの株主が特別決議をしようとしても、反対すれば止められる
- 半分ずつ:意見が分かれると、どちらも過半数をとれず、何も決められなくなる
2人で半分ずつ出資する形は、対等に見えて、意見が分かれたときに会社が動かなくなるおそれがあります。中心になる人を決め、その人が過半数か3分の2以上を持つ形にすることが多いです。
役員の決め方
発起人が複数でも、全員が取締役になる必要はありません。経営に加わる人だけを取締役にし、出資だけする人は株主にとどめる形もあります。取締役が複数いるときは、定款や取締役の互選で代表取締役を決めます。取締役会を置かない会社なら、取締役は1人でもかまいません。
- 全員が取締役になる
- 代表取締役を1人決める
- 役割と報酬を最初に決めておく
- 経営する人だけが取締役になる
- 出資だけの人は株主として議決権を持つ
- 配当や報告の約束を決めておく
定款と手続きで気をつけること
- 定款への署名:発起人全員が記名押印する。電子定款なら全員が電子署名するか、代理人に委任する
- 印鑑証明書:発起人全員の分が要る
- 株式の割当て:誰に何株を割り当てるかは、発起人全員の同意で決める
- 出資の払込み:代表の発起人の口座に、各人が自分の名前で振り込む
- 実質的支配者:議決権の25%を超えて持つ人などを、定款の認証のときに申告する
- 認証の手数料:発起人が個人3人以下なら、条件を満たすと1万5千円。4人以上や法人が入ると3万円以上
発起人が遠くに住んでいるときは、印鑑証明書や電子署名の準備に日数がかかります。行政書士などの代理人に定款の作成と認証を頼むと、発起人は委任状に実印を押すだけで済みます。
あとでもめないための約束
一緒に始めた仲間でも、考え方の違いや事情の変化で、途中で抜けることがあります。抜けた人が株式を持ち続けると、経営に関わらない人が大きな議決権を持ったままになります。設立の前に、次のようなことを書面(株主間契約など)で約束しておくと安心です。
- 抜けるときの株式:誰が、いくらで買い取るか
- 株式の譲渡:定款に譲渡制限を定め、知らない人に株式が渡らないようにする
- 意見が分かれたとき:誰が最終的に決めるか
- お金の負担:設立の費用や、追加の資金を誰が出すか
家族で作るときの注意
夫婦や親子で作るときも、発起人として出資する人の名前と、実際にお金を出した人を一致させます。実際は一人が出したお金で、家族の名前を借りて株式を持たせると、相続や税金の場面で問題になることがあります。家族に株式を持たせたい事情があるときは、設立の前に税理士に相談しておきましょう。
仲間と対等に経営したい場合は、利益の分け方や決め方を定款で自由に決められる合同会社も選べます。違いは「株式会社と合同会社の違い」で紹介しています。発起人が複数の会社設立に対応する専門家は、このサイトの地図から探せます。
出典:会社法(第25条・第26条・第32条・第34条・第309条・第329条・第341条・第349条・第107条)、日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」・「定款認証」Q&A、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第11条
よくある質問
発起人は何人まで、誰でもなれますか?
人数に上限はなく、個人だけでなく会社などの法人もなれます。設立のときに1株以上を引き受けて出資します。
2人で半分ずつ出資してもよいですか?
できますが、意見が分かれたときにどちらも過半数をとれず、何も決められなくなるおそれがあります。中心になる人が過半数以上を持つ形にすることが多いです。
発起人は全員が取締役になる必要がありますか?
ありません。経営に加わる人だけを取締役にし、出資だけの人は株主にとどめることもできます。
発起人が複数だと、定款認証の手数料は変わりますか?
発起人が個人3人以下などの条件を満たせば1万5千円です。4人以上や、法人が発起人に入ると3万円以上になります。
仲間が抜けたときに備えて、何をしておけばよいですか?
抜けるときの株式を誰がいくらで買い取るかなどを、設立の前に株主間契約などの書面で約束しておくと安心です。
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