定款の作り方

社員の加入と退社 合同会社の手続きと定款の決め方

監修:行政書士 渡邉 徳人

合同会社の「社員」は、従業員ではなく、出資して会社を経営する人のことです。社員を加えるときや、社員が辞めるときは、定款を変えて登記をします。社員が亡くなったときの扱いなど、定款で決めておかないと会社が続けられなくなることもあります。加入と退社の手続き、費用、定款で決めておきたいことをまとめました。

この記事のポイント

  • 合同会社の社員は出資者で経営者です。社員の名前と出資は定款に書かれています。
  • 社員を加えるときは、原則として社員全員の同意で定款を変え、出資を払い込んで、2週間以内に登記します。
  • 社員が辞めると、出資の分の払戻しを受けられます。払戻しの額によっては、債権者に知らせる手続きが要ります。
  • 社員が亡くなったときに相続人が引き継ぐかどうかは、定款で決めておきます。

合同会社の社員とは

合同会社の社員は、会社に出資し、原則として会社の業務を行う人です。株式会社でいえば、株主と取締役を兼ねたような立場です。社員の氏名・住所と出資の額は定款に書かれ、業務を行う社員(業務執行社員)の氏名と、代表社員の氏名・住所は登記されます。そのため、社員が加わったり辞めたりするときは、定款の変更と登記が必要です。合同会社の定款は「合同会社の定款の作り方」で紹介しています。

社員を加える2つの方法

新しい社員の加わり方
新しく出資して加わる
  • 新しい社員が会社に出資する
  • 会社の資本金が増えることが多い
  • 社員全員の同意で定款を変える
持分を譲り受けて加わる
  • 今の社員から持分を譲り受ける
  • 会社の資本金は変わらない
  • ほかの社員全員の承諾が要る

業務を行わない社員の持分の譲渡は、業務執行社員全員の承諾で足ります。いずれも、定款で別の決め方をしておくこともできます。

新しく出資して加わるときの流れ

社員の加入の流れ
  1. 1
    条件を決める出資の額、業務を行うか、代表社員にするかなどを決める
  2. 2
    定款を変える原則として社員全員の同意で、新しい社員と出資を定款に加える
  3. 3
    出資を払い込む出資を全部払い込んだときに、社員になる
  4. 4
    登記をする2週間以内に、業務執行社員の加入と、資本金が増えたならその変更を登記する

登録免許税は、社員の加入の登記が1万円(資本金1億円以下)、資本金が増えたときは増えた額の0.7%(最低3万円)です。登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代わりに申請できません。

社員が辞めるとき

社員が辞める(退社する)おもな場面
  • 自分から辞める:定款に別の定めがなければ、6か月前までに知らせて、事業年度の終わりに辞められる
  • やむを得ないとき:病気など、やむを得ない理由があれば、いつでも辞められる
  • 社員全員の同意:社員全員が同意すれば、いつでも辞められる
  • 亡くなったとき:定款で引き継ぐと決めていなければ、その社員は退社したことになる

このほか、破産や後見の開始、除名でも退社します。社員が辞めたら、2週間以内に退社の登記をします。代表社員が辞めるときは、次の代表社員も決めます。

辞めた社員への払戻し

辞めた社員は、出資の分(持分)の払戻しを受けられます。払戻しの額は、辞めたときの会社の財産の状況で決まります。合同会社では、払い戻す額が一定の額を超えるときは、官報で公告するなど、債権者に1か月以上の期間を決めて知らせる手続きが要ります。払戻しで資本金を減らすときは、資本金の額の変更も登記します。

定款で決めておきたいこと

社員の加入・退社に備えて定款で決めること
  • 相続人の引継ぎ:社員が亡くなったとき、相続人が社員の立場を引き継ぐと決めておく
  • 辞めるときの予告:何か月前までに知らせれば辞められるかを決めておく
  • 定款の変え方:社員全員の同意ではなく、一定の多数で変えられるようにする
  • 持分を譲るとき:誰の承諾で持分を譲れるかを決めておく

社員が1人だけの合同会社で、その社員が亡くなり、相続人が引き継ぐ定めがないと、社員がいなくなって会社は解散することになります。1人で経営する合同会社は、相続人の引継ぎを定款に入れておくと安心です。

社員の加入・退社の段取りや、合同会社の定款の見直しを相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。会社をたたむときは「会社をたたむとき」、株式会社に変えるときは「合同会社から株式会社に変えるとき」で紹介しています。

合同会社への社員の加入をご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「合同会社社員追加手続きマニュアル」(外部サイト)もあります。

出典:会社法(第576条・第585条・第590条・第604条・第606条・第607条・第608条・第611条・第635条・第637条・第641条・第914条・第915条)、登録免許税法別表第一

よくある質問

合同会社の社員とは、従業員のことですか?

違います。合同会社の社員は、会社に出資して経営する人のことです。株式会社でいえば、株主と取締役を兼ねたような立場です。

合同会社に社員を加えるには、どうすればよいですか?

原則として社員全員の同意で定款を変え、新しい社員が出資を払い込んでから、2週間以内に登記します。今の社員から持分を譲り受けて加わる方法もあります。

合同会社の社員は、いつでも辞められますか?

定款に別の定めがなければ、6か月前までに知らせて、事業年度の終わりに辞められます。やむを得ない理由があるときや、社員全員が同意したときは、いつでも辞められます。

社員が亡くなったら、相続人が社員になりますか?

定款で相続人が引き継ぐと決めていれば、相続人が社員になります。決めていなければ、亡くなった社員は退社したことになり、相続人は払戻しを受けます。

社員の加入や退社の登記の費用はいくらですか?

資本金1億円以下の会社なら、社員の変更の登記の登録免許税は1万円です。資本金が増えるときは、増えた額の0.7%(最低3万円)が加わります。

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