電子定款

実質的支配者の申告 定款認証で誰を申告するかの決め方と書き方

監修:行政書士 渡邉 徳人

株式会社や一般社団法人の定款の認証を受けるときは、会社を実質的に支配する人(実質的支配者)を公証人に申告します。誰が実質的支配者になるかは、議決権の割合などで順番に決まります。決め方の順番と例、申告する内容、合同会社との違い、設立のあとの「実質的支配者リスト」との違いまでまとめました。

この記事のポイント

  • 株式会社・一般社団法人・一般財団法人の定款の認証のときに、実質的支配者を公証人に申告します。
  • 実質的支配者は、議決権の50%超 → 25%超 → 支配的な影響力 → 代表者の順に決まります。
  • 氏名・住居・生年月日と、暴力団員などに当たらないことを申告します。
  • 公証役場の認証がない合同会社では申告しません。

実質的支配者の申告とは

会社が犯罪の資金のやり取りなどに使われるのを防ぐため、2018年11月から、定款の認証を受けるときに、会社を実質的に支配することになる人を公証人に申告する決まりになりました。申告された人が暴力団員などに当たる場合、公証人は定款を認証しません。

申告は、定款の認証を頼む人(発起人や代理人)が、公証役場の様式の申告書で行います。電子定款の認証でも、紙の定款の認証でも同じです。

実質的支配者の決め方

株式会社の場合、実質的支配者は、次の順番で上から当てはめて決めます。上の段に当たる人がいれば、そこで決まります。

株式会社の実質的支配者の決め方
  1. 1
    議決権の50%超を持つ人ほかの会社を通じて持つ分も合わせて数える
  2. 2
    議決権の25%超を持つ人50%超の人がいなければ。当てはまる人が全員
  3. 3
    支配的な影響力を持つ人出資や融資、取引などで、事業を実質的に動かしている人
  4. 4
    会社を代表する人1〜3に当たる人がいなければ、代表取締役

実質的支配者は、生身の人(自然人)で考えます。株式を持つのが会社のときは、その会社を支配している人までさかのぼります。ただし、上場会社や国・地方公共団体などは、それ自体を自然人とみなします。

出資の割合ごとの例

株式の持ち方と実質的支配者
  • Aさんが100%:Aさん
  • Aさん60%・Bさん40%:50%超のAさんだけ
  • Aさん40%・Bさん40%・Cさん20%:25%超のAさんとBさんの2人
  • 5人が20%ずつ:25%超の人がいないため、支配的な影響力を持つ人。いなければ代表取締役
  • X社が100%(X社はAさんが70%):X社を通じて支配するAさん
  • 上場会社が100%:その上場会社

一般社団法人や一般財団法人は、議決権の割合で決まらないことが多く、事業を実質的に支配する人がいなければ、法人を代表する理事が実質的支配者になります。

申告する内容

申告書に書く主な内容
  • 実質的支配者の氏名・住居・生年月日:住民票などのとおりに書く
  • 実質的支配者に当たる理由:議決権の割合など、どの段に当たるか
  • 暴力団員などに当たるか:当たらないことを申告する
  • 申告する人:発起人や、委任を受けた代理人

公証役場から、実質的支配者の本人確認の書類の写しなどを求められることがあります。申告書の様式は、日本公証人連合会のホームページにあります。

合同会社と株式会社の違い

実質的支配者の申告は、公証人が定款を認証するときの手続きです。合同会社は定款の認証を受けないため、設立のときにこの申告はありません。株式会社・一般社団法人・一般財団法人を設立するときだけ行います。

設立のあとの「実質的支配者リスト」との違い

2つの手続きの違い
認証のときの申告
  • 設立の前、定款の認証のとき
  • 公証人に申告する
  • 株式会社などは必ず行う
実質的支配者リスト
  • 設立のあと、いつでも
  • 法務局に保管してもらう(無料)
  • 株式会社が任意で使う

実質的支配者リストは、2022年1月に始まった法務局の制度です。保管されたリストの写しは、銀行の口座開設や融資の手続きで、会社の実質的支配者を示す資料として使えることがあります。

実質的支配者の申告を含めて、定款の作成と認証を代理できる専門家は、このサイトの地図から探せます。定款認証の全体の流れは「電子定款と定款認証」、ウェブ会議での認証は「定款認証をウェブ会議で受ける手順」で紹介しています。

出典:公証人法施行規則第13条の4、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第11条、日本公証人連合会「定款認証における実質的支配者となるべき者の申告制度」、法務省「実質的支配者リスト制度」、商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則

よくある質問

実質的支配者の申告は、どの会社で必要ですか?

定款の認証を受ける株式会社・一般社団法人・一般財団法人です。認証のない合同会社では申告しません。

1人で株式会社を作るとき、実質的支配者は誰ですか?

議決権の100%を持つ、その本人です。

議決権を半分ずつ持つ2人の場合は?

50%超の人はいませんが、2人とも25%を超えるため、2人とも実質的支配者として申告します。

株主の全員が25%以下のときは?

事業を実質的に支配する人がいればその人、いなければ代表取締役を実質的支配者として申告します。

実質的支配者リストとは何が違いますか?

認証のときの申告は設立前に公証人に行う必須の手続きです。実質的支配者リストは、設立のあとに株式会社が任意で法務局に保管してもらう制度です。

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