定款の作り方

取締役会を置くかどうかの決め方 置く会社と置かない会社の違い

監修:行政書士 渡邉 徳人

株式会社を作るとき、定款で「取締役会を置くかどうか」を決めます。株式の譲渡制限がある会社なら、取締役会は置いても置かなくてもかまいません。置くと、役員の人数や会議の回数などの決まりが増える一方で、決め方がはっきりします。置く会社と置かない会社の違い、選び方の目安、あとから変えるときの手続きをまとめました。

この記事のポイント

  • すべての株式に譲渡制限がある会社は、取締役会を置くかどうかを自由に選べます。
  • 取締役会を置くと、取締役3人以上と監査役が必要になり、3か月に1回以上会議を開きます。
  • 1人や家族で経営する会社の多くは、取締役会を置かない形を選んでいます。
  • あとから置く・やめるときは、定款を変更して登記します。

取締役会とは

取締役会は、取締役全員で作る会議の場です。会社の大事な業務を話し合って決め、代表取締役を選び、その仕事ぶりを見守ります。取締役会を置くかどうかは定款で決め、置く会社は「取締役会設置会社」として登記されます。

公開会社(譲渡制限のない株式がある会社)は、必ず取締役会を置かなければなりません。すべての株式に譲渡制限がある会社なら、置くかどうかを選べます。譲渡制限については「株式の譲渡制限とは」で紹介しています。

置く会社と置かない会社の違い

取締役会を置くか、置かないか
置かない
  • 取締役は1人以上
  • 監査役は置かなくてもよい
  • 株主総会で何でも決められる
  • 取締役が2人以上なら過半数で決める
置く
  • 取締役は3人以上
  • 監査役(または会計参与)が要る
  • 株主総会は法律と定款の事項を決める
  • 業務の大事なことは取締役会で決める

取締役会を置かない会社は、資本金100万円未満などの条件を満たせば、定款認証の手数料が1万5千円になります。

取締役会を置くと決め方が変わること

取締役会が決めること
  • 代表取締役を選ぶ:取締役の中から、取締役会で選ぶ
  • 大きな財産・借入れ:重要な財産を売るときや、多額の借入れをするとき
  • 株式の譲渡の承認:定款で別に決めなければ、取締役会が承認する
  • 取締役と会社の取引:取締役が会社と取引するときの承認
  • 株主総会を開くこと:日時や議題を、取締役会で決める
  • 年の途中の配当:定款で定めれば、年1回の中間配当を取締役会で決められる

取締役会を置かない会社では、これらは株主総会か取締役が決めます。株主と経営者が同じ人なら、置かない形のほうが手続きは少なく済みます。

取締役会を置くと増える手間

取締役会を置く会社の決まり
  • 役員の人数:取締役3人以上と、監査役1人以上などをそろえる
  • 3か月に1回以上:代表取締役が仕事の様子を取締役会に報告する
  • 議事録を作る:出席した取締役・監査役が署名か記名押印をし、10年間保存する
  • 招集は書面で:株主総会の招集の通知を、書面(同意があれば電子メールなど)で出す

定款で定めておけば、取締役全員が書面などで同意したときに、会議を開かずに決議したものとみなすこともできます。ただし、3か月に1回以上の報告は、実際に会議を開いて行います。

どちらを選ぶか

取締役会を置くかどうかの目安
  1. 1
    1人・家族の会社置かない形が多い。役員が少なくても作れて、手続きも簡単
  2. 2
    経営者以外の株主出資者から経営を任されている形なら、置いて決め方をはっきりさせることもある
  3. 3
    取引先や金融機関つきあいの中で体制を整えたいときに、置くことを考える

役員を3人そろえるために、名前だけの取締役を置くのはおすすめしません。取締役には、会社や第三者に対する責任があります。

定款の書き方

取締役会を置く会社は、定款に「当会社は、取締役会及び監査役を置く。」のように書きます。置かない会社は、機関の定めに取締役会を書かず、「当会社に取締役1名以上を置く。」のように役員の人数を書いておくと分かりやすくなります。取締役会を置くかどうかで、株式の譲渡を承認する機関や、株主総会を開く手続きの書き方も変わるため、定款全体をそろえて作ります。定款全体の作り方は「株式会社の定款の作り方」で紹介しています。

あとから置く・やめるとき

設立のあとに取締役会を置くときや、やめるときは、株主総会の特別決議で定款を変更し、変更の登記をします。取締役会の定めの登記の登録免許税は3万円で、監査役を置く・やめるなど役員が変わるときは、役員変更の分(資本金1億円以下なら1万円)も加わります。

取締役会をやめるときに見直すこと
  • 譲渡を承認する機関:取締役会としていたら、株主総会などに書き換える
  • 代表取締役の選び方:取締役の互選や株主総会で選ぶ形に書き換える
  • 監査役を残すか:やめるなら、監査役を置く定めの廃止も登記する
  • 監査役の任期:監査役を置く定めをやめると、監査役の任期はその時点で終わる

取締役会を置くかどうかを含めて、定款の作成や見直しを相談できる専門家は、このサイトの地図から探せます。登記の申請は司法書士の業務で、行政書士は代わりに申請できません。役員の任期は「役員の任期が来たときの手続き」、1人で作るときは「1人で株式会社を作るとき」で紹介しています。

取締役会をやめる手続きをご自身で進めたい方には、手順と書式をまとめた「株式会社取締役会廃止キット」(外部サイト)もあります。

出典:会社法(第2条第5号・第139条・第295条・第298条・第299条・第326条・第327条・第331条・第336条・第348条・第349条・第356条・第362条・第363条・第365条・第369条・第370条・第371条・第454条・第466条・第911条)、登録免許税法別表第一

よくある質問

取締役会は必ず置かなければなりませんか?

公開会社(譲渡制限のない株式がある会社)は必ず置きます。すべての株式に譲渡制限がある会社なら、置かなくてもかまいません。

取締役会を置くには、役員が何人必要ですか?

取締役3人以上と、監査役1人以上が必要です。譲渡制限がある会社なら、監査役の代わりに会計参与を置くこともできます。

取締役会は、どのくらいの頻度で開きますか?

代表取締役が3か月に1回以上、仕事の様子を報告する決まりがあるため、少なくとも3か月に1回は開きます。

1人で会社を作るときは、取締役会を置けますか?

取締役会には取締役が3人以上要るため、1人では置けません。1人の会社は取締役会を置かない形にします。

あとから取締役会をやめられますか?

株主総会の特別決議で定款を変更し、変更の登記をすればやめられます。株式の譲渡を承認する機関など、定款のほかの定めも見直します。

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